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山頭火句碑めぐりコース(山口市)

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山頭火句碑めぐりコース(山口市)          取材日:2023年1月21日

■知っ得情報!
 ・駐車場:山口市小郡文化資料館
 ・トイレ:其中庵休憩所、JR新山口駅
 ・所在地:山口市小郡周辺
 ・距離:約4.0km
 

 山口市小郡文化資料館のホームページで紹介されている「山頭火句碑めぐりマップ」を参考に、種田山頭火の句碑を探しながら、其中庵周辺を当センター職員が歩きました。

 山口県防府市出身の種田山頭火は、日本各地を放浪しながら、五・七・五の十七音で季語を必ず入れるという俳句の定型にこだわらず、感じたままを自由に表現する「自由律俳句」を多く世に送り出した俳人です。昨年は其中庵結庵90周年・生誕140年を記念して、各地でイベントや企画展などが開催されました。
 昭和7年から昭和13年の間、山口市小郡の其中庵で過ごしていたことから、小郡地域に多くの句碑が設置されています。

 

   
   
    
   

 ※山口市小郡文化資料館より地図データをご提供いただき、歩いたルートを図(青い線等)で示しています。
   PDF版は山口市小郡文化資料館ホームページよりご覧いただけます。
   

 

●山口市小郡文化資料館●

 国道9号線沿いにある山口市小郡文化資料館は、特徴的な八角形の建物と、駐車場入口に設置された2頭の獅子が目印です。
 建物入口の左手に、其中庵までの案内図が設置されていました。ルートには案内板が設置されており、辿って歩けば迷わずに済みそうです。
 山口市小郡文化資料館  車の中からでもよく見える看板が目印です。  句碑の設置場所も示されています。
 資料館の敷地内に設置されている2つの句碑を探してみました。
 1つ目の句碑は、建物の左横にある庭ですぐに見つけることができました。資料館の入口にもあるはずなのですが、こちらは見つけられず、後で探すことにしてウォーキングを開始します。
 

空へ若竹のなやみなし


 
五月晴れの青空に向かってまっすぐに伸びる若竹。若竹と若者の比喩表現でしょうか。


 案内板が建物の左側にある歩行者用通路に設置されていました。
 この案内板には其中庵までの残りの距離と、山頭火の俳句が書かれています。これを順に見ていくだけでも、山頭火の俳句の世界に触れながらウォーキングすることができます。今回はこの案内板を出発点として歩き出しました。
 
   
 ふるさとの ここにも そこにも家が建ち    
 資料館の裏手に向かって歩いて行くと、大きな蒸気機関車が見えました。「デゴイチ」の愛称で知られるD51型蒸気機関車です。「鉄道のまち」として発展してきた小郡地区の象徴として、展示されているのでしょうか。

 小郡は古くから、山陽道と石州街道が合流する交通の要所として栄えていました。近代に入ると、山陽鉄道の開通に伴い「小郡駅」が開業、全盛期には貨物輸送の中継基地として、水と石炭の補充を目的に多くの蒸気機関車が駐泊していたそうです。
 巨大な貨物輸送の中継基地として、戦後復興と高度経済成長を支えた、まさに「町の誇り」なのですね。
 
 すぐそばには懐かしい丸形ポストが設置されていました。裏側に山頭火の俳句が書かれており、珍しいポスト型の句碑として使われています。俳句を見る際は、隣に設置されている資源物ステーションの敷地から見るようになりますので、同ステーション利用者の車に十分ご注意ください。


ポストはそこに旅の月夜で

 

山頭火は筆まめで、友人たちによくハガキを送っていたそうです。旅先で感じたこと等を書いていたのでしょうか。

資源物ステーションのフェンスで、ポストの裏側が見えにくいのが残念でした。

 

●①蓮光寺へ●

 横断歩道を渡り、左方向に進みます。山口市小郡総合支所を通り過ぎてしばらく歩いた先の三叉路に、次の案内板がありました。右に曲がって少し進むと、また次の案内板が設置してあります。
   水くんでくる 草の実ついてくる  三日月の どこやら子どもの声がする
 道路の反対側に渡る横断歩道がないため、車に注意しながら渡って左に曲がり、住宅街の中を道なりに歩いて行きました。
※細い道なので歩く時ご注意ください。
 しばらく進んで行くと道が分岐していましたが、案内板が設置してあるため進む方向がわかりやすく、助かります。
 右手の塀には蓮光寺の掲示板がありました。句碑を探しに蓮光寺に寄り道をします。
 
 灯ればしたしく隣があった    
 お寺の塀に沿って進んだ先に坂が見えました。これを上れば蓮光寺です。門をくぐってお邪魔しま~す♪
 句碑の設置場所を探して境内を見渡したものの、見つけることができません。しばらく周辺を歩いてみましたが、見つけられずにうろついていたところ、灯台下暗し!門のすぐ横の木のふもとに設置されていました!
 近くにあるものには案外気がつかないものですね。


正月三日お寺の方へぶらぶら歩く

 

見つけた時は思わず「あった~♪」と叫んでしまいました。


 

●②其中庵へ●

 蓮光寺をあとにして、元のルートに戻ります。
 さらに道なりに進んでいくと、黄幡大明神(おうばんだいみょうじん)に到着しました。角には案内板もあります。
 右折して、さらに住宅街の中を其中庵に向かって歩きました。

 変則的な交差点に出ますが、ここにも案内板があるので迷うことなくウォーキングできます。


ふけて山かげの あれはうちの灯

「夜、帰宅途中に山陰の中見えた灯りはうちのかな?」

という心情だったのでしょうか。
同じような経験は誰しもありそうですね。

 この柿の木が 庵らしくするあるじとして    
 しばらく歩くと、遠くに網代笠を模したモニュメントが見えました。 其中庵は近いぞ!
 其中庵の敷地内を、句碑を探しながら散策しました。
    内部も見ることができます。
 
 いつしかあけてゐる茶の花  はるかぜのはちのこひとつ  
 藪になっているところ等は、気温が上がってくると蜂や蛇が活動し始めますのでご注意ください。

 

●③其中庵休憩所●

 其中庵休憩所は、其中庵を訪れる人のために無料開放されている施設で、中には展示室もあります。
 歩き疲れた時等に、利用できる休憩場所があるとうれしいですね。
 玄関の横には句碑がありました。


母よ うどんそなへて
 わたくしもいただきます

 

幼くして亡くした母親を偲んで詠まれたのでしょうか。


 建物の横にある庭園にも入ってみました。句碑と水琴窟があるようなので楽しみです。
 
残念ながらカチコチに凍っていました!

※現在、水は常時止めてあるそうです。
 へうへうとして水を味ふ    
 山頭火の句の中で、人気がとても高い句のようです。    

 休憩所の駐車場からは、小郡の町並みを眺めることができました。ウォーキング中はあまり気になりませんでしたが、結構上り坂だったようです。
いい眺めでした!  

 

●④JR新山口駅へ●

 山頭火の銅像に会いにJR新山口駅南口(新幹線口)へ向かうため、ウォーキング再開です。ここからは案内板がないので、マップを見ながら歩きました。

 住宅街を道なりに下っていき、国道9号線を目指します。歩道がないところが多いので、十分気をつけて歩きましょう。
 大きい交差点を渡ってしばらく直進すると、正面にJR新山口駅北口の白い駅舎が見えてきました。
 
 よく見ると、駅舎の壁に網代笠をかぶった人のシルエットが描かれています。どうみてもこれは山頭火!急ぎ信号を渡って見に行きました。
   
 山頭火のシルエットの横には俳句が書かれていました。シルエットというところが、山頭火の内面の陰の部分や孤独感をも表しているように思われます。
 

山あれば山を観る
雨の日は雨を聴く
春夏秋冬
あしたもよろし
ゆふべもよろし


 

自然はどの季節においてもそれぞれに良さがあり、その良さを感じられる心持ちでいることが大切なのだということでしょうか。




 

 すぐそばの柱一本一本にも俳句が書かれています。
 ちなみに、反対側の柱には中原中也の詩が書かれていました。


①うれしいこともかなしいことも草しげる
②春風の鉢の子一つ
③其中雪ふる一人として火を焚く
④音はしぐれか

①は人気の高い句なのだそうです。
②の句碑は其中庵にもありました。其中庵はかな表記でした。

 

●⑤俳人種田山頭火之像●

 南北自由通路を通って、銅像が設置されている南口に向かいました。
 駅の南北をつなぐ「新山口駅南北自由通路」には、全長約100m、面積約400㎡におよぶ壁面緑化が施されています。地域に自生する植物の植生を調査し、約140種の在来種を用いて山口の里山を表現しているのだそうです。この「垂直の庭」は、第17回屋上・壁面緑化技術コンクールで国土交通大臣賞を受賞しており、見ごたえ十分でした。
 駅構内の自然の緑に、利用者の方々の目も心もリラックスさせてもらっているのではないでしょうか。

 ご自身の体力に合わせて、エスカレーター利用もありですよ。

 南口側に出て階段を下ると、すぐに銅像が目に入りました。駅入口に割と近いところに設置されているのですぐわかります。
 台座に刻まれた俳句の文字は、山頭火の直筆を復元しているそうです。


まったく雲がない笠をぬぎ



旅の途中、ひと休みしている時に詠まれた句だそうです。



 北口に戻り、次の句碑の場所に向かいます。

 

●⑥ふしの屋●

 駅を出て横断歩道を渡りました。右方向に進み、次の句碑がある蕎麦屋「ふしの屋」に向かいます。

 句碑は店の入口そばにありました。横に万両(だと思われます)が赤い実をつけていて、とても絵になります。


そばの花にも少年の日がなつかしい



そばの花の花言葉は「懐かしい思い出」なのだそうです。




 

●⑦再び山口市小郡文化資料館へ●

 資料館に戻ります。
 駅を出たあたりから雪がちらちら降り出してきていたのですが、急に風が強くなり、雪もひどくなって前傾姿勢で歩かなければならなくなりました。山頭火も、こんな天気が悪い時も歩いていたのだろうか、、、と思いを馳せます。

 ふしの屋前の道を進み、突き当りの三叉路を左へ。角を曲がったあたりから、また青空が戻ってきて助かりました。
 そのまま直進し、南本町交差点の横断歩道を渡ってから左に曲がります。
 次の信号を右に曲がって小道に入りました。 道なりにまっすぐ進むと、資料館のある通り(国道9号線)まで行くことができます。 この道は歩道がない狭い道なので、歩く時は車などに十分注意しましょう。(車通りは少なめでした。)
 信号を渡り、右方向を見ると建物が見えました。ゴールは近い!


 到着しました!

 

●⑧資料館にお邪魔しました●

 ウォーキング後、資料館にお邪魔しました。(無料で入館できます。)
 種田山頭火に関する資料が数多く展示されており、其中庵での生活ぶり等を知ることができます。山頭火の結庵する条件が、「山村であること、水がよいところか温泉地であること」だったそうで、確かに小郡の「其中庵」の他、湯田温泉の「風来居」、愛媛県松山市の「一草庵」はその条件通りなのがわかります。
 「放浪の俳人」の呼び名に違わず、その移動範囲は岩手県から鹿児島県まで!と広範囲なのも驚きでした。

 館内はその他にも、ふるさとにゆかりのある作家の美術作品や小郡地区の歴史・文化に関する資料や作品なども展示されています。
 今回ウォーキングで使用した「山頭火句碑めぐりマップ」とともに、其中庵までのマップも配布されていますので、歩く前の入館をお勧めします。


草は咲くがままのてふてふ




玄関を出てふと足元を見た時、句碑を発見!
こんなところにあったとは・・・。資料館に入らなかったら気づかなかったかもしれません。





● 取 材 後 記●

 其中庵までは案内板のおかげで、迷わずにストレスなく歩くことができました。
 案内板に書かれている俳句のほとんどが、其中庵での生活を記録した「其中日記」に収録されているようで、当時の様子が想像できるような、日常の生活感情が表現されているものが多く、すっと心にはいってくる親しみやすさを感じました。
 「次はどんな俳句かな?」と、考える楽しみもあったウォーキングでした。
 山頭火について詳しく知らないという方も、このコースを歩きながら多くの俳句に触れ、山頭火の世界を感じてみてはいかがでしょうか。

 今回は山口市小郡文化資料館をスタート・ゴールとして、同館の駐車場を利用させていただきましたが、駐車台数に限りがありますので、利用の際はイベント等の開催日にご注意ください。(※事前にホームページで確認することをお勧めします。)
 この日は歩いた後に資料館に入りましたが、歩く前に資料館で事前勉強するもよし、歩いた後にあらためて山頭火について知るもよし、ぜひこの機会に山口市小郡文化資料館を訪れてみてください。
     
山口市小郡文化資料館
 開館時間: 9時~17時(入館は16時30分まで)
 休館日: 月曜日(祝日の場合は翌平日)
 年末年始(12/29~1/3)

【其中庵】
 開館時間: 10月~4月 9時~17時
          5月~9月 9時~18時
 休館日: 年中無休

※施設に関する最新の情報は、資料館のホームページでご確認ください。

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